十津川を行く(後編)
谷瀬の吊り橋で去勢されたぼくは、さらに元気を失ってゆく。
台風12号が直撃した奈良県南部は甚大な被害を受けた
という話はもちろん聞いていて、ニュースを見るたびに心配になっていたのだけれども、
国道も復旧してこのところその後の情報を聞かないので・・・まぁその他も復旧しつつあるんだろうと勝手に思っていて。
どうみても後片付けが済んでいない。
送電線の鉄塔とかあるけど。電気は復旧したんかな。
プロパンガスのボンベやらなんやらかんやら。
道路が根こそぎ流されて、表面のアスファルトだけがダムに残ってる。
熊野古道への橋もこんな状態。
積極的に行くつもりはなかったけど、このすぐ横の道を通った。
行きは通り過ぎて・・・帰りにどうしても気になって、車を降りて歩いてみた。
「 土砂崩れで民家が流された 」と聞いて、なんで早めに避難せんかったんやろう?
と不思議に思ってたのだけれども、現場を見てよくわかった。
民家が建っていのは土砂崩れを起こした斜面ではなくて、その対岸の河原。
山がまるごと崩れて川を越えて、対岸の民家まで押し寄せ、家屋をさらっていたらしい。
こんなもん、逃げようがないよね。昨日まで普通に眺めていた山が突然なくなるなんて考えられるわけがない。
家屋は完全に流されて残っているのは基礎部分だけ。
花と、ジュースと、おもちゃが供えられてあった。子供がいたんやろう。
近くにはコンビニもマクドもないけれど、清流まで徒歩30秒と23区内ではありえない贅沢な環境。
それが一瞬で流されて、住民の方々は多くが未だに行方不明とのこと。
お名前も存じ上げないけれど、拝ませていただいた。
なんか、どうにもならない絶望感。
ぼくがヘコんだところでどうなるわけでもないけど。
悲劇は突然やってくる。
ぬるぬる生きてる場合じゃない。かも。
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